さとうもか「melt bitter」の歌詞の意味を考察してみました。
この歌詞は失恋とその後の葛藤、そして自己認識の深まりを描いています。失った恋が日々の生活に影を落とし、その痛みや悲しみを乗り越えて自分自身を再発見する過程を描いています。
さまざまな感情が織り交ぜられ、深みと色彩を帯びた歌詞が心に響きます。今、私たちはこの詩の世界に足を踏み入れ、その感情の波を一つひとつ解きぬきましょう。
「melt bitter」の歌詞の意味を考察
ねえ ふたりとも分かってたの
何度 心絡めても
日に日にほどけていった 赤色の糸
この部分は、赤色の糸、つまり運命の相手と思っていた人との関係が次第に解けていく様子を描いています。何度心を結びつけようとしても、結果的には関係はほどけていった、という絶望的な情景が広がります。
しかしこの部分では、二人がそれぞれ自覚していたことも示唆されているでしょう。それはつまり、互いに心が離れていくことを認識していた、ということかもしれません。
愛してる 愛してるなんて
言葉だけじゃ やっぱダメみたいだ
運命だと信じてた日々よ さようなら
ここで歌われているのは、「愛してる」という言葉の力の無力さと、それを裏切られた痛みです。彼女は言葉だけで愛情を伝えようとしましたが、それが足りなかったと感じているようです。
「運命だと信じてた日々よ、さようなら」というフレーズは、そう信じていた過去との決別を意味しています。彼女は過去の信念との絶縁、そして現実と向き合う勇気を示しています。
カーステレオのラジオで
ふいに流れた 君が初めて教えてくれたあの曲
違う誰かの助手席で
寝たふりして涙ごまかす夜
なにしてんだろう
この部分は、思い出が日常生活の一部となり、その思い出によって心が揺さぶられる様子を描いています。彼女はラジオから流れる音楽によって彼の存在を思い起こし、その悲しみを誤魔化すために涙を隠しています。
対象が明らかにされていない”誰か”がこの歌詞を一層哀愁に包んでいます。その哀愁が、過去の思い出と現在の状況とのギャップを強調しているのかもしれません。
懐かしい駅 ふたりの部屋
過去が今を見えなくする
でもいつかね まだ知らない色に染まって
誰かと溶けてゆくの
その瞬間が きっと本当の終わり
ここで歌われているのは、思い出と未来への期待の間で揺れ動く心情です。彼女は過去の記憶に囚われ、現在を見失いつつあります。しかし、彼女は未来に希望を持ち、新しい色に染まること、新しい誰かと一体化することを予感しています。
そして、その瞬間こそが彼との関係の「本当の終わり」だと認識しているのかもしれません。過去を悔やむだけでなく、未来への期待を込めたこの歌詞は、彼女の前向きな態度を示していると思います。
私の痛い気持ちを
ふたりのものだと勘違いしていた
抱きしめなきゃ なにも分かんないのに
愛してる 愛してるなんて
文字の重さは泡と同じだね
会いに行けば未来は変わったかな
ここで彼女は、自分の心の痛みが彼にも共有されていると思い込んでいたことを認めています。その心の痛みを理解するためには、物理的な接触、つまり抱擁が必要だと感じているようです。愛の言葉は、泡のように軽く、実質的な重さを持たないと表現されています。
そのため、彼女は彼に会うことで未来が変わったかもしれないと考えています。その思いは、愛の宣言だけでは不十分で、行動が重要だという認識を示しているかもしれません。
背伸びしてばかりだった
あなたの横にいると
痛みも何より綺麗に見えたの
私のものにしたくて靴擦れした気持ちと
目を合わせられない
この部分では、彼女の彼に対する献身的な愛情が描かれています。彼のそばにいると、すべての痛みさえも美しく感じられたという表現は、彼女が彼をどれほど深く愛していたかを物語っています。
しかしながら、彼に見合うために自分自身を無理に高めようとする様子が「背伸びしてばかりだった」として描かれています。その結果、靴擦れした気持ち、つまり疲労や苦痛を伴う感情が生まれ、その感情と向き合うことができなくなったのかもしれません。
ふたりで見た あの映画は
今の私たちのことだったのかな
私たちは運命だと 本気で思い込んでたけど
本当は 長くいたから似てきてただけ
ここでは、彼女が過去と現在を比較し、過去の誤解を認識する様子が描かれています。彼女は二人で見た映画が現在の自分たちの状況を反映しているかどうかを疑問に思っています。そして、運命の相手だと信じていたことが、単に長く一緒にいたから似てきただけだったと自覚しています。
これは、自己認識と成長の過程であるといえるでしょう。
私に夢が無かったら
もしもあなたと同じ夢を見てたら
もしかしたら今でもふたりは
当たり前に 決まってたように
一緒に居られたかな なんてね
未だに考えてしまうんだよ
この部分では、彼女が過去の選択を悔やみ、もしもの想像にふける様子が描かれています。自分に夢がなく、彼と同じ夢を見ていたら、今でも一緒にいられたのではないかと思っています。その想いは、未だに彼への愛情が残っていることを示しているかもしれません。
友達にも もうきっとなれないでしょう
最後の言葉は 「またね」だったけど
また なんてもう無いんだよ
この部分は彼女が現実を受け入れ、友人としての関係性すらもうないと認めるところです。最後に交わした言葉が「またね」だったにも関わらず、その「また」が二度と来ないことを彼女自身が理解しています。
この歌詞は、彼とのすべての関係が終わり、新たなスタートを切る準備ができていることを示しているかもしれません。
バイバイ 遠くなるベイビー
興味ないうるさいTVショー
一緒にみて時間無駄にしても
君とならよかったよ
ここで彼女は、彼と過ごした時間を思い返し、その甘酸っぱさを感じています。興味のないTVショーを一緒に見る、時間を無駄にする、そんな些細な瞬間すらも、彼と一緒ならば価値があったと感じています。
この歌詞は、彼女が彼との時間をまだ大切に思い出していることを示しているでしょう。
あの夏にね くれたピアス
「ずっとありがとう」って海に投げたの
忘れられる気がしたけど
思い出だけは 波も飲み込みきれない
心とけた過去は消えないわ
この箇所では、彼女が過去の思い出に対峙し、その経験から学びを得ていることを感じます。「あの夏にね くれたピアス」は、彼と過ごした特別な思い出の象徴でしょう。ピアスを海に投げる行為は、その思い出から逃れる、あるいはそれを清算しようとする試みかもしれません。
しかし、「忘れられる気がしたけど、思い出だけは 波も飲み込みきれない」という表現からは、忘れようとするほど思い出は心の中に深く刻まれ、それを全て消すことはできないという彼女の感情が伝わってきます。
私に染み込んでいるあの口癖は
あなたのものだったの
消えないで なんて願ってばかみたい
愛してる 愛してるなんて言っても
もう なにも動かないの
運命だと信じてた日々よ さようなら
歌詞の最後の部分では、彼女が彼に影響されていたこと、そしてその思いを全て手放す決意を示しています。「私に染み込んでいるあの口癖は あなたのものだったの」は、彼が彼女に与えた深い影響を示しています。
しかしながら、「消えないで なんて願ってばかみたい」は、彼に対する執着を自嘲的に語り、「もう なにも動かないの 運命だと信じてた日々よ さようなら」は、その思いを完全に手放す覚悟を表現しています。
「melt bitter」歌詞の意味を考察まとめ
全体を通して、この歌詞は一人の女性が恋愛の終わりを経験し、自分自身を見つめ直し、成長する過程を描いています。彼女は彼への深い愛情と過去の思い出から離れることの苦痛を経験しますが、その過程で自分自身を深く理解し、自己成長につながることを発見します。
その結果、彼女は過去の思い出を手放し、自分自身を再定義する勇気を持つようになります。
また、この歌詞は、終わりと新しい始まりの間の微妙なバランスを探求しています。過去の愛情と未来への期待の間で揺れ動きながらも、彼女は自分の感情を理解し、自分自身を見つめ直す勇気を見つけます。その結果、彼女は過去の経験を手放し、新しい自分自身に向けて前進する決意を固めます。